仁義なき戦い

【仁義なき戦い 完結篇】ネタバレ結末!あらすじ・登場人物まで徹底解説

映画「仁義なき戦い 完結篇」は、「仁義なき戦い」シリーズ5部作の最終章として1974年に公開された実録映画です。

シリーズ一作目「仁義なき戦い」から前作「仁義なき戦い 頂上作戦」では第一次および第二次広島抗争を題材にしていましたが、本作では第三次広島抗争と呼ばれる政治結社・共政会(劇中では天政会)の内部紛争の内情がドラマチックに描かれています。

この記事では「仁義なき戦い 完結篇」の詳細なあらすじと主要登場人物の設定について解説していきます。

「仁義なき戦い 完結篇」あらすじを丁寧に解説

ここでは映画「仁義なき戦い 完結篇」のあらすじを、ネタバレを含めて結末までわかりやすく解説していきます。

政治結社・天政会

明石組系打本会の急先鋒である広能組々長・広能昌三が7年4ヶ月の懲役で網走刑務所に収監されている一方で、未決のまま出所した山守組最高幹部・武田明は広島中に散在する組織を一本化して政治結社・天政会を結成し、暴力社会の抜本的な改革を図った。武田は武田組々長と二代目天政会々長を兼任し、副会長に大友組々長・大友勝利、理事長に武田組若頭・松村保、幹事長に早川組々長・早川英男、理事に江田組々長・江田省一が就任していた。

広島一の大組織となった政治結社だったが、暴力団を脱して世間のイメージアップを図りたい武田・松村派と、あくまでヤクザを貫こうとする大友・早川派で反目し合い、内部分裂の兆しが見えはじめる。

市岡の陰謀

天政会が広島の極道社会に君臨する中で、広能組は若頭・氏家厚司を中心に天政会の横暴にもじっと耐えて広能の帰りを待っていたが、広能より一足早く出所した広能の舎弟・市岡輝吉はそんな広能組の弱腰を非難する。市岡は天政会を刺激して内部紛争を勃発させ、天政会を瓦解させようと目論んでいた。

そんな折、天政会参与・杉田佐吉が何者かに射殺されるという事件が起きる。大友は市岡組の犯行だと察しをつけ、杉田の葬儀に顔を出した市岡を激しく責め立てるが、無用な揉め事を避けたい武田は松村と共にその場を収める。

跡目争い

天政会内部の不穏な動きを察知した広島県警が天政会本部の強制捜査に踏み切り、会長である武田の逮捕が濃厚となる。武田は自身の逮捕に備え、武田不在時の会長代行を務める三代目会長候補に同会の理事長にして自身の子飼いである松村を推薦する。早川と結託した大友が会長候補に立候補するが、武田派の根回しによって会長候補は松村に決定する。間もなく武田が逮捕され、松村が会長代行として権威を振るいはじめると、天政会は会長の座をめぐって松村派と大友派に分裂する。

異例の盃

市岡は早川をとおして大友に接触し、武田・松村体制を打破するために異例ともいえる兄弟盃を交わす。早川は仮出所した槇原組々長・槇原政吉を説得して大友派の陣営に引き入れようと画策するが、松村がそれを阻止。さらに松村は大友組のナンバー2である間野豊明を懐柔するなど、跡目としての地盤を着々と固めていく。

市岡は大友組を後ろ盾として天政会主流派の縄張りを荒らしてまわるが、返り討ちに遭い、天政会の刺客に射殺される。一連の騒ぎをきっかけに間野は大友と袂を分かったため大友は単身で市岡の弔い合戦を試みるが、未遂のまま逮捕されてしまう。

武田の帰還

大友派の壊滅を機に、松村が天政会傘下の全会員に盃を改めさせて組長を自身の直系の舎弟分にすると、これに反発した早川は天政会を脱会し、早川組を解散させる。さらに松村は天政会から政治結社の看板を下ろし、天政会が暴力団であることを強調した。

松村は次期会長としての地盤を強固としたにもかかわらず、武田が出所すると潔く武田に会長の座を明け渡す。出所した武田は3ヶ月後に出所を控えた広能への対処に頭を悩ませると共に、天政会から政治結社の看板を下ろした松村を叱責する。

一方、大友を失った早川は新たに山守と手を組み、槇原を次期会長に据えようと画策するが、広能の出所を前に手柄を立てようとする広能組の若衆が槇原を射殺したため計画は頓挫する。

世代交代

武田は出所した広能に引退を要求するが、広能はそれを拒否する。後日、松村は秘密裏で広能に接触し、武田が引退して自身が会長職を継ぐ予定であることを伝えると共に、広能組を天政会で厚遇することを条件に広能に引退を迫る。広能に回答を保留されたまま松村は三代目会長襲名の準備をするが、挨拶廻りの道中で旧大友派に襲撃され、瀕死の重傷を負う。

松村が重傷をおして襲名式を強行しようとする姿を見て、広能は広能組を天政会に預ける。その後、広能組が天政会に収まることに反発した槇原組が広能組を襲撃し、組員ひとりを射殺する。

広能はふた回り以上も年齢の離れた若者の死と、それを悼む遺族の姿を目にして、長年にわたる極道人生から足を洗う決意を固める。

「仁義なき戦い 完結篇」登場人物

「仁義なき戦い 完結篇」はシリーズの初期3作と比べると新しく登場する人物はそれほど多くないですが、それぞれの利害関係が入り組んでいるため、初見ではわかりにくい部分もあるかもしれません。

ここでは本作がシリーズ初登場となる重要な登場人物についてご紹介していきます。

松村保(北大路欣也)

武田組幹部兼天政会理事長。三代目会長候補として二代目天政会会長・武田明の留守中に会長代行を務める。武田から絶大な信頼を寄せられるが、旧山守組勢力による会長職の独占を快く思わない二代目天政会副会長・大友勝利や早川英男らに敵視され、命を狙われる。ややもすると弱腰に見られがちだが、凶暴さと冷静さを持ち併せたじつにクレバーな人物。命に関わる重傷をおして三代目天政会会長の襲名式に臨む様子には鬼気迫るものがあり、観る者を圧倒する。モデルは三代目共政会々長・山田久氏。

市岡輝吉(松方弘樹)

市岡組々長。風貌も行動も狂犬のように危険な男だが、兄貴分である広能を実の兄のように慕っている。広島の裏社会に君臨する天政会を強く敵視しており、天政会参与の杉田佐吉を殺害し、天政会副会長・大友勝利と兄弟の盃を交わすなど、天政会を瓦解させるべく妨害工作を繰り返す。大友とのシリーズ随一の狂犬コンビは広島の裏社会に大きな衝撃を与えた。獄中の広能に代わって東奔西走するも、広能の出所を待たず天政会のヒットマンによって殺害されてしまう。モデルは宮岡組々長・宮岡輝雄氏。

氏家厚司(伊吹吾郎)

広能組若頭。網走刑務所で7年4ヶ月の刑期を務める広能の留守中に広能組を切り盛りする苦労人。武闘派やくざ然とした風貌だが、市岡の挑発を受け流し、第二次広島抗争の余波に揺れる情勢にじっと耐えて広能の帰りを待つ強い忍耐力の持ち主。広能が出所するまでは天政会と敵対していたが、松村が三代目天政会々長に就任すると、広能の口利きで広能組ともども天政会の傘下に入る。モデルは二代目美能組々長・薮内威佐夫氏。

佐伯明夫(桜木健一)

広能組若衆。天政会を襲撃しようとした際に水中銃で誤って自分の脚を撃つ、後輩を無理やり広能組の組員に引き入れようとして氏家に殴られるなど、どこまでもツイてない若者。同じく広能組若衆・清元忠と共に山守組系槇原組々長・槇原政吉の暗殺を計画するも、土壇場で怖気づき、小便を漏らしてしまう。同行した清元が代わりに槇原を射殺するも、後に報復を受けて射殺される。コメディ要員でありながら、広能に引退を決意させる重要な人物。

杉田佐吉(鈴木康弘)

天政会参与。天政会の経済顧問として経済面で大きく貢献していたが、天政会を挑発するための火種として市岡組に白昼の往来で射殺されてしまう。出番はほとんどなく人間性も読み取れないが、ストーリー上なくてはならない重要な人物。余談だが、杉田佐吉役を演じる鈴木康弘は「仁義なき戦い 代理戦争」の冒頭でも白昼堂々射殺され、抗争の火種を作っている。モデルは共政会系住吉組々長・住吉辰三氏。

かおる(野川由美子)

天政会参与・杉田佐吉の娘。天政会に利用された挙句に殺された父を哀れみ、天政会を恨んでいるが、天政会理事長・松村保とは共に愛し合う仲である。並外れた美貌の持ち主で、元山守組々長・山守義雄が思わず涎を垂らしてしまうほどの「ええケツ」をしている。松村を裏から支える良き内妻。モデルは山田久氏の妻・山田多美子氏。

間野豊明(山田吾一)

大友組若頭。梅毒が脳にまわったのか、「仁義なき戦い 広島死闘篇」以上の危険人物と化した大友組々長・大友勝利を冷静に補佐する、広能組若頭・氏家厚司以上の苦労人。感情のままに暴れまわる大友に代わって事態を収拾してまわるが、とうとう付き合いきれなくなると、大友と袂を分かって松村の傘下にくだる。ちなみに、当の大友は間野からの逆破門状を読まずに若衆に破り捨てさせた。モデルは村上組幹部・平野一明氏。

「仁義なき戦い 完結篇」ネタバレ結末

ポイント

  • 広島抗争を題材にした実録映画シリーズ5部作の最終章。
  • 広島の暴力団によって結成された政治結社・天政会の内部紛争を描いている。
  • 新たな登場人物に加えて、過去のキャラクターが再登場するなど、まさにシリーズを総括するような内容。

「仁義なき戦い 完結篇」ではこれまでの作品に引き続き、広島で実際に起きた暴力団の抗争事件の様子が描かれています。

前々作「仁義なき戦い 代理戦争」と前作「仁義なき戦い 頂上作戦」が典型的な群像劇であったのに対し、本作は組織の内部紛争を描いているという点で記念すべきシリーズ一作目「仁義なき戦い」と共通しており、5部作の最終章であると同時に原点回帰した内容であるといえます。

これまでのシリーズ作品を担当した人気脚本家・笠原和夫が前作を最後に降板したため、公開当時は厳しい見方も多かったのですが、脚本家が高田宏治に代わったことで本作はよりシリーズの締めくくりに相応しい作品に仕上がったと言えるでしょう。実際に本作は過去4作を越えるシリーズ最高の配給収入を記録しています。

また本作は今までにも増して豪華なキャスト陣が製作に加わっており、菅原文太、小林旭、田中邦衛、金子信雄、山城新伍らレギュラー陣に加え、北大路欣也と松方弘樹が前回とは異なる配役で再登場しています。「仁義なき戦い 広島死闘篇」で千葉真一が演じた大友勝利役を宍戸錠が、「仁義なき戦い 代理戦争」と「仁義なき戦い 頂上作戦」で室田日出男が演じた早川英男役を織本順吉という異なるキャストが演じている点も見逃せないポイントです。

そういう意味でも、「仁義なき戦い 完結篇」をより深く楽しむためには順を追って鑑賞していただくことをおすすめしますが、単独で観ても楽しめるような工夫がなされている作品でもありますので、最初に本作を鑑賞してから残りのシリーズ作品を追ってみるのも面白いかもしれません。

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