仁義なき戦い

【新・仁義なき戦い。】ネタバレ結末!あらすじ・登場人物まで徹底解説

映画「新・仁義なき戦い。」は、「仁義なき戦い」五部作と「新仁義なき戦い」三部作、そして「その後の仁義なき戦い」に続く、「仁義なき戦い」シリーズの10作目にあたる作品として2000年に公開されました。

キャストや製作陣はほぼ一新されているため「仁義なき戦い」としての要素はほとんど受け継がれていませんが、「仁義なき戦い 完結篇」および「新仁義なき戦い」三部作の脚本家を務めた高田宏治氏が本作でも引き続き脚本を担当しており、また本家「仁義なき戦い」五部作に出演経験のある俳優陣が本作にも顔を見せているなど、シリーズのファンなら必ず鑑賞しておきたいヤクザ映画の傑作です。

これまでのシリーズ作品とはストーリー上の繋がりはありませんので、「仁義なき戦い」シリーズを未見の方でも存分に楽しむことのできる作品に仕上がっています。

ここでは「新・仁義なき戦い」の詳細なあらすじと主要登場人物の設定について解説していきます。

「新・仁義なき戦い」あらすじを丁寧に解説

ここでは映画「新・仁義なき戦い」のあらすじを、ネタバレを含めて結末までわかりやすく解説していきます。

少年時代

いつものように学校を抜け出した栃野昌龍と門谷甲子男はある日、栃野の父親がヤクザに追われているところに遭遇する。ヤクザは栃野の父親に暴行を加えて借金の返済を迫るが、追い詰められた栃野一家は夜逃げを選択する。夜逃げ当日、栃野は父親の顔を足蹴にしたヤクザの男への恨みを晴らすために単身ヤクザの事務所を訪れ、ガソリンを撒いて火をつける。栃野はヤクザに捕まって顔に銃口を突きつけられるが、ピンチを察して駆けつけた門谷がヤクザを刺殺して難を逃れる。それ以来、門谷は耳鳴りに悩まされることになる。

三代目組長の死

日本有数の大組織・三代目左橋組々長の死はマスコミの注目を集め、葬儀に参列する組員らの姿はテレビ番組でも大きく報道されていた。高級クラブやマンションのオーナーとなった栃野は、テレビで放映された映像の中にヤクザに身を落とした門谷の姿を認めて苦々しい気分を味わう。

一方、組長の座を継ぐものと思われていた三代目左橋組若頭・溝口武雄が跡目を辞退したことで、左橋組は大きく揺れていた。周囲の組員は左橋組の最大勢力である粟野組の組長・粟野和市を四代目に担ぎ出そうと画策するが、左橋組からの独立を目論む粟野はのらりくらりと周囲の期待をやりすごして時機を伺う。

跡目争い

中平組々長・中平淳史は兄弟分である左橋組幹部・斎木保と共に反粟野派の立場を取る幹部連中を取りこみ、四代目左橋組々長の座を狙って着々と根回しを進める。粟野組の若衆である門谷は粟野を四代目の座に就かせるため資金集めに奔走するが、兄弟分である松田安蔵に紹介された産廃絡みのシノギをめぐり、中平の兄弟分にあたる京都・小木戸会とトラブルを起こしてしまう。

斎木は中平が四代目を継ぐことを見越して、朝鮮半島進出に向けて栃野を抱きこもうと画策するが、ヤクザを嫌う栃野はにべもなく断る。中平の根回しがあまりに周到であるため焦った粟野派の幹部らは粟野に行動を促すが、粟野が左橋組から独立する計画を告白すると粟野派の幹部連中は寝返り、中平の四代目襲名は確かなものとなる。

内部紛争

次期組長の座に就いた中平は粟野の殺害を計画するが、中平の企みを察知した粟野は門谷を名目上破門に処し、中平を襲撃させる。

門谷はホテルのロビーで中平を襲撃するタイミングを伺っていたが、栃野が中平の許を訪れ、さらに暴走した門谷組の若衆・山下鉄雄が独断で中平を襲撃したため、場は大きな混乱に見舞われる。栃野の配下にあたる在日コリアン・韓秀国が体を張って山下を抑えたため襲撃は失敗に終わり、実行犯の山下と銃弾を浴びた韓のふたりが命を落とした。

中平の殺害に失敗した粟野は引退、粟野組は解散を迫られ、門谷は指名手配の身となる。

銃撃戦

粟野が引退したことで左橋組に居場所を失くした門谷は栃野が経営する高級クラブに乗りこみ、そこで斎木ら左橋組幹部と共に祝杯をあげる中平に銃弾を浴びせる。門谷は中平に重傷を負わせるも、山下に殺された韓秀国の実弟・韓建基に腹部を刺されて自身も重傷を負ってしまう。

門谷の決死の覚悟を汲んだ栃野は門谷に代わって中平を銃撃するが、中平組の若衆に撃たれて命を落とす。

中平が死亡したため、斎木ら左橋組幹部は粟野の引退を取り消し、組長の襲名を要請する。要請を受けた粟野は門谷の破門を解くが、門谷は粟野の命令を無視し、団地に暮らす母の許に帰る。

「新・仁義なき戦い」登場人物

「新・仁義なき戦い」は他のシリーズ作品と同様に登場人物の関係性が複雑に入り組んでいるため、一見しただけで相関関係を理解することは難しいかもしれません。

ここでは「新・仁義なき戦い」の主要な登場人物についてご紹介していきます。

門谷甲子男(豊川悦司)

左橋組系門谷組々長で本作の主人公。少年時代は栃野昌龍と親友だったが、栃野の父親を足蹴にしたヤクザを門谷が刺殺して以来離れ離れとなり、今では互いに反目している。持病の耳鳴りに苦しみ酒と薬に溺れながらも、直系の親分である粟野組々長・粟野和市に四代目左橋組々長を襲名させるため奔走する。機嫌が悪いと事務所で暴れまわるなど直情的な性格の持ち主だが、意外にも若衆からの人望は厚い。

粟野和市(岸部一徳)

左橋組系粟野組々長。三代目左橋組々長の死をきっかけに四代目組長候補の筆頭に立つ。当初は組長を襲名する気は毛頭なく、いきり立つ組員らをのらりくらりと躱していたが、対抗馬である中平組々長・中平淳史に命を狙われると一転して非情な一面を顕にし、門谷に中平を襲撃させて見事四代目組長の座に収まる。金に汚く、肚の底の読めない不気味な男。

溝口武雄(織本順吉)

左橋組若頭。三代目左橋組々長を慕うあまり四代目組長の座を蹴り、苛烈な跡目争いを勃発させた張本人。出番が少ないため人間性は定かではないが、三代目左橋組の勢力拡大に多大な貢献をしていることから、かなりのキレ者であることが窺い知れる。

松田安蔵(松重豊)

左橋組々員。門谷とは五分の兄弟にあたる。粟野を四代目組長に立てるため資金集めに奔走する門谷に、産廃処理にまつわるシノギを紹介するが、善意が裏目に出て中平組との抗争の火種を作ってしまう。門谷の身を案じてさまざまな助言をするもことごとく無視される様が悲しい。

中平淳史(佐藤浩市)

左橋組系中平組々長。粟野に対抗して四代目組長の座を狙う。根回しがあまりに周到だったため、溝口が四代目組長を辞退したのは中平を四代目に据える出来レースだったのではないかとの噂が流れたが、その真相は定かではない。四代目組長就任に漕ぎ着けるも直後、門谷に襲撃されて命を落とす。

斎木保(小沢仁志)

佐橋組幹部。中平の腹心として、中平体制となった左橋組を朝鮮半島に進出させるため、高級クラブの経営者である在日コリアン・栃野昌龍を抱き込もうと粘り強い交渉を続ける。劇中でも12を争うコワモテの外見に反して、何事も話し合いで平和的な解決を目指す穏健派。門谷が中平を襲撃した際には真っ先に身を伏せて難を逃れた。

栃野昌龍(布袋寅泰)

高級クラブと小さな焼肉屋を経営しながら同胞の面倒を見ている在日コリアン。少年時代に父親を侮辱したヤクザの事務所を放火するなど生来の気性はかなり激しく、中平組のしつこい交渉にも屈せず脅されれば逆に脅し返す様は劇中の誰よりもヤクザらしいが、少年時代の経験からヤクザという存在を強く憎んでいる。門谷とは長いあいだ反目していたが、自身の経営するクラブで門谷が中平を襲撃した際には門谷の後を継いで中平を銃撃し、とどめを刺した。

韓秀国(哀川翔)

栃野の下で働く在日コリアン。母国を追われた実弟ともども世話になっていることもあり、栃野に強い恩義を感じている。門谷組の若衆が中平を襲撃する場に居合わせた際には己の身を挺して栃野を守った。栃野の腕に抱かれて死にゆく様は観る者の涙を誘う。

「新・仁義なき戦い」ネタバレ結末

ポイント

  • シリーズ通算10作目にあたるヤクザ映画
  • 本家でお馴染みの名脇役たちをはじめ、Vシネマ界の豪華キャストが多数出演
  • 布袋寅泰が音楽監督を担当し、本作のテーマ曲は映画「キル・ビル」のテーマ曲として大々的に引用されて世界的に話題となった。

映画「新・仁義なき戦い」は、「仁義なき戦い」五部作、「新仁義なき戦い」三部作、「その後の仁義なき戦い」に続くシリーズ通算10作目にあたる作品です。続編「新・仁義なき戦い/謀殺」では高橋克典・渡辺謙を主演に据えて本作の後日談を描いています。

21年ぶりのシリーズ作品ということで主要キャストは軒並み一新されていますが、「仁義なき戦い」で山守組幹部・矢野修司を演じた曽根晴美、「仁義なき戦い 完結篇」で共政会幹部・早川英男を演じた織本順吉をはじめ、野口貴史、志賀勝、岩尾正隆、福本清三らシリーズのファンには顔馴染みの名バイプレイヤーに加え、数々のVシネマで主役を演じている哀川翔、小沢仁志、さらには豊川悦司、岸部一徳、佐藤浩市、松重豊ら豪華キャストが集結し、「仁義なき戦い」の歴史に新たな伝説を刻みました。

主要キャストのひとりである布袋寅泰は同時に音楽監督を兼任しており、本作のために書き下ろされたテーマソング「新・仁義なき戦いのテーマ(Battle Without Honor or Humanity)」は、「仁義なき戦い」シリーズのファンを公言する世界的映画監督クエンティン・タランティーノの目にとまり、タランティーノ監督の代表作「キル・ビル」のテーマ曲として大々的に引用されたことで世界的な大ヒットを記録するに至っています。

第1作目はこちら↓

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