東映ヤクザ映画

【県警対組織暴力】ネタバレ結末!あらすじ・登場人物まで徹底解説

映画「県警対組織暴力」は主演・菅原文太、監督・深作欣二、脚本・笠原和夫による作品で、1975年に公開されました。菅原と深作、笠原の三人はヤクザ映画の金字塔である「仁義なき戦い」シリーズでタッグを組んでおり、本作はまさに「仁義なき戦い」の警察版ともいうべき内容に仕上がっています。

「県警対組織暴力」も「仁義なき戦い」シリーズと同様に東映実録路線に連なる作品として知られていますが、実話に基づいたエピソードが散りばめられてはいるもののメインとなるストーリーは完全なフィクションとなっています。また、本作の原作にあたる小説や続編にあたる映画は存在しておらず、東映実録路線の中でも独立した作品であるといえます。

ここでは「県警対組織暴力」の詳細なあらすじと主要登場人物の設定について解説していきます。

「県警対組織暴力」あらすじ

プロローグ

大原組が結成10年を迎えた翌年、内部分裂によって三宅組が興ったが、三宅組々長は間もなく大原組の刺客に殺害され、大原組々長・大原武男が逮捕される運びとなる。三宅一派だった友安組も解散に追い込まれたが、その5年後、元友安組々長・友安政市は市議選挙に立候補し、見事当選に輝く。

反乱分子の排除に成功したかに見えた大原組だったが、市会議員となった友安は川手組と手を組み、川手組に大原組を吸収させようと画策していた。

悪徳刑事

倉島署で刑事を務める久能徳松巡査部長は川手組を襲撃しようとする大原組系広谷組の若衆を発見するが、見逃して襲撃を後押しする。久能にハッパをかけられた広谷組の若衆らは川手組々長・川手勝美の経営するクラブを襲撃するが、川手と友安はパトカーを奪って無傷で逃走する。

刑事でありながら広谷組々長・広谷賢次をバックアップし、広谷に大原組の二代目を継がせようと画策する九能は、川手組若衆・松井卓を倉島署に連行し、刑事部第二課の部下である河本靖男巡査を従えて松井に苛烈な暴行を加える。警察によって川手組から孤立させられた松井は川手組に見捨てられたと勘違いし、川手組が友安の仲介で工業用地の競売に絡んだ利権を狙っていることを告発する。

久能の暗躍

久能は広谷組を利用してでっち上げた買春容疑で川手組の組員らを検挙し、広谷組に工業用地の利権を横取りさせようと画策する。工業用地の利権をめぐって対立を深めた大原組と川手組は、チンピラ同士の小競り合いを発端に全面抗争状態に突入する。

倉島署と大原組の癒着を知った友安は県会議員・菊池東馬に協力を仰ぎ、大原組と川手組の抗争激化に伴う市民の反暴力団感情に乗じて倉島地区暴力犯罪合同取締本部を設置し、県警本部から招いた海田昭一警部補を大原組担当班々長に任命する。

倉島署浄化作戦

倉島署に異動した当日、海田は久能の助言を得て大原の出所に浮き足立つ大原組を訪ね、広谷に宣戦布告する。また汚職を極端に嫌う海田は刑事らに暴力団員との交際を禁じるなど厳しい規律を強要し、意見が対立したベテラン刑事・吉浦勇作を退職に追いこむ。

さらに久能が大原組と癒着していることを知った海田は久能に知らせずに大原組へのガサ入れを実行し、出所したばかりの大原をふたたび逮捕する。友安は菊池・県警本部と共に大原を説得して大原組を解散させ、大原組の組員らを川手組の傘下に入れることを表明させる。

大原の声明を聞いた広谷は久能を責め立て、刑事部内での権力を失い利用価値のなくなった久能と袂をわかつ。さらに久能は広谷組との癒着を追求され、謹慎処分を言い渡される。

汚職の代償

久能が謹慎して間もなく、広谷組が友安の軍門に下った吉浦を拉致して市内のホテルに篭城する。海田率いる捜査本部はホテルに立てこもる広谷の説得にあたるが、記者に扮してホテルに潜入した河本が殉職してしまい謹慎中の久能に助けを求める。

単身でホテルに潜入して広谷を確保した久能は、広谷組の残党に情状酌量することを条件に広谷を警察に引き渡す。

引渡しの際、広谷は拘束を振り切って海田を人質に逃走を試みるも、久能の手で射殺される。

一連の事件の責任をとって地方の派出所に異動させられた九能は、深夜、自動車事故の現場検証をしているところを広谷組の残党が運転する車にはねられ、即死する。

「県警対組織暴力」登場人物

久能徳松(菅原文太)

倉島警察署刑事部第二課巡査部長。三宅を殺害したその足で自首してきた広谷賢次に惚れこんで以来、広谷に大原組の二代目を襲名させようと奔走する悪徳刑事。広谷の殺人罪をもみ消したことをはじめ、数え切れない汚点を抱えている。別居する妻から離婚を求められているが、昇進に響くという理由から頑として応じようとしない。いわゆるマル暴だが、下手なヤクザよりもよほどヤクザらしい人物。

広谷賢次(松方弘樹)

大原組々長代理。服役中の大原に代わって大原組を切り盛りするイケイケの武闘派ヤクザ。三宅一派が大原組を割って独立した際には先頭に立って三宅を殺害した。体を張って大原組を危機から救った功労者であるにもかかわらず、服役中に腑抜けた大原が解散を宣言したために確実視されていた大原組二代目組長の夢が潰えてしまう。ある意味では本作いちばんの苦労人。

大原武男(遠藤太津朗)

大原組々長。倉島地区で最大勢力を誇る大原組のトップに君臨するほどの辣腕だが、服役中に罪の意識に目覚めたのか、一時間の勤行を日課にするほど腑抜けてしまった。再逮捕されるとかつて己に反旗を翻した友安の言いなりとなって大原組を解散させる始末。刑務所内で作ったアンコを出所後も連れ回していることを考えると、そこまで枯れてはいないのかもしれない。

柄原進吾(室田日出男)

広谷組幹部。倉島署刑事部第二課の河本靖男巡査とは中学時代の同級生だが、記者に扮してホテルに潜入した河本に自首を促されると、組を守るために河本を射殺した。その親分思いの性格から、派出所に異動した久能をひき殺した事件に何らかの形で関与していると思われる。出所した大原が中性的な男をアンコにしていることを知ると、その行為を想像するお茶目な一面も持ち併せている。

安友政市(金子信雄)

倉島市会議員で大原の兄弟分。以前は大原組系友安組の組長だったが、三宅と共に大原に反旗を翻して解散に追い込まれたため、政治の世界に鞍替えしたという過去をもつ。川手組と手を組んで大原組を解散に追いこみ、ヤクザ時代の雪辱を見事に果たした。作中で随一の有能な人物。

川手勝美(成田三樹夫)

川手組々長。市会議員・友安政市の雪辱戦に巻きこまれたことが幸いし、倉島地区で最大の勢力を誇る大原組の吸収という漁夫の利を得た、作中でもっともツイている男。見るからに有能そうな人物だが、最後までこれといった活躍はしていない。

海田昭一(梅宮辰夫)

県警刑事部第二課警部補。31歳の若さで倉島地区暴力犯罪合同取締本部大原組班々長を務める有能な刑事。柔道四段の腕前の持ち主で、学生時代には全国大会にも出場した。持ち前の強い正義感で腐敗した倉島署をクリーンにするべく暴力団に対して厳格な姿勢で捜査に臨むが、旧来の方法で成功を収めた久能の手腕を認め、事件のわずか2年後に県警を退職して日光石油に転職する。

河本靖男(山城新伍)

倉島警察署刑事部第二課巡査。久能の部下として悪徳刑事路線を突き進んでいたが、海田の登場によって方向を転換し、まっとうな刑事としての道を歩みはじめる。しかしその矢先に起きた広谷組の篭城事件で潜入捜査に失敗し、かつて同級生だった広谷組幹部・柄原に射殺されてしまう。河本の死は捜査本部に衝撃を与え、久能の謹慎を解くきっかけとなった。

虎狼の血に影響を与えていた?!「県警対組織暴力」作品秘話・小ネタ

本作は実録路線に連なる作品でありながら警察内部の腐敗や対立に焦点を当てている異色のヤクザ映画です。「県警対組織暴力」のジャーナリスティックな視点と洗練されたプロットは後続の作品に大きな影響を与えており、特に白石和彌監督で映画化された警察小説「孤狼の血」の著者・柚月裕子は東映実録路線映画のファンであることを公言しており、「孤狼の血」はまさに現代版「県警対組織暴力」といえる重厚なヤクザ映画に仕上がっています。

また、実在した悪徳警官の姿を描いた同じく白石和彌監督の映画「日本で一番悪い奴ら」も「県警対組織暴力」を彷彿とさせる悪徳警官映画の傑作として高い評価を得ています。

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撮影秘話

本作では菅原文太演じる主人公・久能徳松と山城新伍演じる主人公の部下・河本靖男が取調室で川谷拓三演じるヤクザ・松井卓にリンチを加えるという場面がありますが、このシーンではリアリティ溢れる演出を望んだ川谷拓三が自ら申し出て、実際に殴る蹴るの暴行を受ける様子が撮影されました。はじめは遠慮がちだった菅原と山城も撮影を進めるにつれて興が乗ったようで、その後アドリブで川谷を丸裸にまでしています。川谷はこのシーンがきっかけでブレイクを果たし、ドラマやバラエティで幅広く活躍しました。

キャスティング裏話

大原組若頭・広谷賢次は久能徳松に次いで第二の主人公ともいえるとても重要なキャラクターです。本編では松方弘樹が広谷役を演じていますが、企画当初は同年公開の実録映画「仁義の墓場」で主役を演じて高い評価を得た渡哲也が広谷を演じる予定でした。「仁義の墓場」の撮影終了後、渡哲也が体調を崩してしまったため、松方弘樹が広谷を演じることになりました。松方弘樹の鬼気迫る演技にも凄まじいものもありますが、渡哲也が広谷賢次をどのように演じていたのか気になるところです。

「県警対組織暴力」ネタバレ結末

ポイント

  • 「県警対組織暴力」は架空の都市を舞台にしたヤクザ映画
  • ヤクザの抗争事件に絡めて警察組織の腐敗を描いている
  • 実話に基づいたエピソードを散りばめているがメインのストーリーはフィクション

「県警対組織暴力」は広島をモデルにした架空の都市・倉島市を舞台にした実録映画です。

ヤクザの抗争がメインとなっていますが、主題は抗争ではなく警察内部の対立と腐敗に置かれています。主人公に刑事を据えた作品はヤクザ映画として非常に珍しく、そのジャーナリズムに満ちた視点は今もなお数多くの作品に影響を与え続けています。

本作は東映実録路線のひとつに数えられますが、メインのストーリーは完全なるフィクションです。数あるヤクザ映画の中でも本作の脚本の完成度は高く評価されており、初めてヤクザ映画を観るという方にもおすすめの作品です。

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