『極道の門』のネタバレを含むあらすじや登場人物などの解説をまとめてみました。
極道劇画を中心に作品を発表している、あの村上和彦が脚本を担った『極道の門』シリーズは、非常にリアルな任侠映画です。やはり、極道映画の巨匠と言われている村上和彦による映画なだけあり、見ているこちらも緊張感を覚え、手に汗握る場面も数多くあります。そして主人公は木村一八演じる村田龍治。この『極道の門』は、天性の器量を持った若き村田龍治が、極道の頂点へと登り詰める、そんなストーリーです。そして今回は、そのストーリーの冒頭部分である『極道の門・第一部』を徹底解説していきますよ。
あらすじや登場人物などを深堀しますので、ネタバレ注意です!
あらすじ
義道会による、突然の大政組への闇討ち
大阪、昭和45年、秋のことでした。土砂降りの中、大政組若頭補佐・尾形敬三と、彼に手塩にかけられ育った大政組若衆・村田龍治は無防備な状態で歩いておりました。すると、突然義道会の刺客5人に囲まれ、闇討ちをされ、結果として尾形は不幸なことに命を落としてしまいます。そこで、義道会の五人に囲まれた新人村田は、絶体絶命の状況におかれますが、なんと、たった1人で5人を斬ったのでした。
疑惑をかけられる村田
義道会による、あまりにも唐突な闇討ちの悲報は、大政組にもすぐ届きました。そこで、死んだ尾形と一緒にいたはずの村田と連絡が途絶えていることに組員達が気が付き、村田は失踪疑惑をもたれてしまいます。しかし、大政組組長である鹿島剛介は、村田は尾形が手塩にかけて育てたやつだから、そんな村田が逃げるなんてことはありえないと断固として主張。そうしているうちに、実は義道会の5人はもう死んでおり、村田が全員を殺したという情報が大政組に入ってきたのです。さらに、村田は顔を切られただけで軽傷で、現在は取調べに応じていることがわかりました。
なんとか大政組での疑惑は晴れた村田でしたが、次は浪速警察署にて拘留され、警察に五人斬りの事実を信じてもらえずに暴言を吐かれてしまいます。そこで、警察は、事実を確認するために、事件発生場所であった龍泉寺に出向きました。すると、龍泉寺の住職である藤村壮海が対応し、村田の五人斬りを証言したのでした。「相手を殺さねば、5人もの敵に自分が殺される」という状況に対しての村田の行動は正当防衛として村田の無罪放免こそが人としてとるべき正義の道だと説いたのでありました。
大浜鶴吉による仲介
この義道会による闇討ち事件により大政組と義道会の関係性は悪化してしまいます。そこで、さらなる抗争を防ぐために、大浜組組長・大浜鶴吉が両者の手打ちを取り持つために動き始めました。まず大浜鶴吉は、大政組組長に、この和解に同意してもらえるよう出向き、大政組組長も金銭での和解に同意します。続いて、大浜鶴吉は、義道会に顔を出しますが、なんと義道会の会長は表に出てこない始末。それどころか、義道会が勝手に闇討ちをして、返り討ちにあう、言わば自業自得の事件であるのに会長は弔慰金の額に不満を持ち、時間をくれと話を引き延ばそうとしたのです。
そこで大浜鶴吉は、それはこの仲介の話を断ったとみなし、今後、大浜組は大政組と合力し、義道会と一線を画すと伝え、それに怯えた義道会会長は、あわてて、その仲介の条件を飲みこみました。
義道会による、仲介話への反発
そして、結果は大政組の頭の値段は500万円、義道会は200万円という価格で交渉が進められていきます。ところが、しぶとい義道会会長は、この額に不満をもち、一人300万円にするよう手下の安田に交渉をするよう命じました。この交渉を受け、大浜鶴吉は、「義道会は極道の風上におけない」として、やはり大浜組は大政組に合力することを決意したのです。すると、義道会会長と、大浜鶴吉の狭間になってしまい行き場を無くした安田は、大浜鶴吉を撃ってしまいました。
これを受け、組長を義道会に打たれた大浜組の幹部が、義道会に出向き「話がまとまったから義道会会長にお礼をしたいから、是非うちに足を運んでくれ」と嘘の話で、義道会会長を大浜組本家に呼び寄せたのでありました。
義道会は大浜組の舎弟に、村田は無罪放免に
結局撃たれた大浜鶴吉は無事に回復し、安田も義道会会長も逃がしてやれと言いましたが、大浜組の頭が義道会を下につけることを提案しました。そこで大浜鶴吉は、その実行を決意。
一方、村田は無罪放免された上に、新人であったのにも関わらず、三階級特進し若頭になるという異例の昇格にも恵まれました。
登場人物
大政組若衆・村田龍治
この『極道の門』シリーズの主人公である村田龍治は、最初は大政組の駆け出しでした。第一部では、冒頭シーンで義道会による闇討ちに不幸にも居合わせてしまい、目の前で自分を大切に育ててくれた尾形を殺されました。しかしながら、同時に村田はその場で敵の5人を切り殺すという驚異の能力を発揮したのでありました。武道の腕もさることながら、彼のただならぬオーラは、見る者に彼の将来の活躍を期待させました。
大浜組組長・大浜鶴吉
大浜鶴吉は、大浜組の組長です。極道の門の第一作目では、義道会による大政組への闇討ちの一件により、抗争寸前であった義道会と大政組の間を取り持つ重要な役割を担います。彼は、迫力のある威厳の一方で、他者を赦す広い心も兼ね備えています。この二面性こそが、この大浜鶴吉の人間的魅力の由縁であるでしょう。
大政組組長・鹿島剛介
鹿島剛介は、義道会に襲撃された大政組の組長です。大浜鶴吉と同様に、彼もまた、組長としての器を持った男でありました。実際に第一部では、組員である村田が、闇討ち事件後に姿を消したため、組員の間で逃亡したのではないかと疑われる場面があります。しかし、鹿島だけは何の証拠もなしに「村田がそんなことをするわけがない。」と組員を信じ通したのです。このように、組員想いの、組長としての器を備えた男でありました。
義道会会長・太田黒
太田黒は、今回の闇討ちを実行した義道会の会長です。この男は、会員に無茶苦茶な命令をすることはもちろん、機嫌により、会員に声を荒げる場面も多く、とても極道の世界で長を務めるには値しない男でした。また、自分が傷付くことは恐れる臆病者で、ここぞいうときに表に出てこないことも彼の特徴です。劇中では、彼の存在が、逆説的な方法で観る者に「男とは何か」を考えさせる、そんな役割を担っています。
大政組若頭補佐・尾形敬三
尾形は、義道会の闇討ちで命を落とした人物です。生前は、駆け出しであった村田龍治を大変かわいがり、村田からも敬意を抱かれておりました。
龍泉寺の住職・藤村壮海
龍泉寺は、義道会の闇討ちの現場となりました。その龍泉寺の住職がこの男。村田の五人斬りを疑う警察に対し、五人斬りを証言するばかりか。村田の無罪放免を説きました。
大政組若頭・赤垣常雄
赤垣は、村田の無罪放免に尽力した大政組若頭です。大政組組長の相談役として、その知識を大いに生かし、結果として村田は無事に無罪放免となりました。
義道会若頭・安田銀蔵
安田は、義道会会長の手下として、会長の無茶に振り回されて続けておりました。しまいには、大浜鶴吉との交渉の場で、あまりにも無理な条件を提示するよう命じられ、大浜鶴吉に交渉取消の返答をされてしまうのでした。そして、窮地に立たされた安田は、大浜鶴吉を撃ってしまいます。
まとめ
『極道の門』シリーズの、記念すべき第一部について、理解を深めることはできましたか?
「第一部以降も見てみたい!」「久しぶりに『極道の門』シリーズを観返したい!」という方は、この三点を抑えてくださいね。これさえ抑えておけば、複雑な物語が絡み合うこのシリーズも、すんなりと理解でき、より一層楽しめることでしょう。
- 義道会と大政組が敵対する理由
- 村田龍治の驚異の昇格の理由
- 大浜鶴吉の存在
義道会と大政組は、もともと飛田新地の地上げの問題で敵対しておりました。そこで、更に第一部での「義道会による闇討ち」の一件で、その敵対状況は悪化したのです。この両者の関係性を理解しておくことで、今後のシリーズも分かりやすくなることでしょう。また、主人公である村田龍治ですが、なぜ彼がこんなにも高い評価を得ているのかを理解できていないと、今後のストーリーもあまり共感できず面白味は半減してしまうでしょう。そこで、この第一部での村田による五人斬りの一件を頭にいれておくことで、より『極道の門』の世界を楽しめると思いますよ。そして、今後も重要なキーパーソンとなるのが、大浜組の組長である大浜鶴吉です。第一部でも分かるように、彼の義への誠実さや、筋の通った考え方は、まさに男を極めたものこそ持つものです。
これらを抑えて、『極道の門』シリーズを、たのしんでみてくださいね。